その昔、時代が昭和から平成に切り替わろうとしているころ、日本の福岡県の田園地帯で、ちょっと大きな赤ちゃんが生まれました。
赤ちゃんは、とてもおとなしい子でした。
お母さんは、左右の手の大きさからして、この子は左利きだな、と思いました。
時は過ぎ、赤ちゃんは物心ついた頃、カラーペンで画用紙にぐにゃぐにゃの線を描くのがとても楽しかったようで、何を描くわけでもなく、ただひたすら線を描きまくっていました。
そんな様子を見ていたお母さんの妹は、この子は絵を描く子になる、と思いました。
そんなころ、赤ちゃんは幼稚園に入るくらいの歳になりました。
ダメ元で、右利きの使い方を教えたお母さん。
右で書いたひらがなは、完全なるアートになっています。
左で書いても、「さ」が「ち」になり、「ま」が「む」になり、「たまご」と書こうとしても「まごご」となる思考回路に、当の本人も不思議でなりませんでした。
行事の多い幼稚園に入ることになった女の子は、幼稚園の自由時間ですら絵を描いていました。
ちょっと心配になった先生、絵描き道具を取り上げて外で遊ばせようとしましたが、どこかから拾って来た枝で運動場の端っこでお絵かき。
小学校にあがっても、中学校になっても、高校になっても、何をどうやっても勉強しているはずが、気がつけばノート1ページが絵になっているのです。
成績も中くらい程度で、とくに頭のいい学校に行こうということも考えず、さっさと家に帰って大きな画用紙に絵を描きたいくらい絵を描くことをやめませんでした。
気がつけば社会人。
生活費を稼ぐために会社員で事務作業をしましたが・・・
(文字って、つまらない)
(なんでそんなつまらない会話で笑えるわけ?)
(お菓子まわってきたけど別にお腹空いてないし)
(おじさんくさいから、怒んないで・・・ってかめっちゃテカってる。)
(あいつが悪いのに、なんで私が謝るわけ?)
勤務時間中、ひたすら不満思っていました。(真面目に勤務していましたが/笑)
そんなことを10年もしたころ、人事異動で人として最悪な上司が来たので、やめました。
それからというもの、組織に縛られるのは性格上むいていないということをとある医者に断言されて、本当に好きなものは何か?と自問することになりました。
好きなことをして、世の中の人が喜ぶものって、なんだろう?
と色々なことを試してみましたが、やっぱり絵を描くことが多くの人を笑顔にさせている気がして、絵を描くことをやめずにいます。